「ラクス様、ご婚約おめでとうございます」
「婚約者の方とは普段はどのような会話をされているんですか?」
「婚約指輪はもう頂きましたか?」


 そんな下世話な質問と共に向けられる数多のマイクに、ラクスはただニコリと微笑んだだけだった。
 敢えて皆に話して聞かすような話題ではないと思ったし、それよりも、例えば新しく出しだ歌に込めた意味であったりとか、最近の自分の活動であったりとか、もっと視野を広げればプラント最高評議会議長である父についてあったりとか――そういう事を、聞いて欲しかったのだ。だってそちらの方が、よっぽど自分の為にも世間の為になるのではないか、と思う。
 ラクス様、ラクス様。そうやって名前を呼ばれた後に続くのは、婚約者の名前。そんな事を尋ねて何が楽しいのか、自分にはいまいち理解出来ない。アスランの事を知りたいのなら、直接本人に聞けばいいのに。或は、父親の方がよく知っていると思うのに。




 結局ラクスは、それらの問いに答えぬままに。妖精だ、天使だと讃えられる笑みだけを彼らに与えて。




 後日発売された週刊誌には、その笑顔に「幸せそうな笑み」だなどと適当なコピーが添えられていたけれど、まぁいいか、とその時のラクスは全く気にも留めなかった。










【それを恋と謂わずして、何を愛と謂うのでしょう】










 それはまだアスランがアカデミーの生徒で、ラクスがただのアイドルだった時の頃だ。
 婚約してからおおよそ2年ばかり、相手に対する理解も深まり、きっとこんな関係が生涯続いていくのだろうと、疑いもなく思っていた頃だ。



「え?今日はアスランさんが来る筈だったって…私が来て大丈夫だったの?」
「?ええ、構いませんけど…?」

 クライン邸の緑豊かな庭先――ラクスはテーブルを挟んで対面に座る友人に、不思議そうに小首を傾げた。
 今日のプラントは、気温も湿度も肌に心地よい程度に設定されていて。チチチ、と小鳥がさえずり、花と花の間を蝶が飛び交い、そんな穏やかな空間の中で、親しい友人と共に美味しい紅茶とお菓子を楽しめるなんて、なんて幸せな事だろう。ラクスはそう思って、今この瞬間を心底喜んでいたというのに。
 どうして彼女はそれを否定するような事を口にするのか。
 だって、と友人は困ったように視線を彷徨わせる。だって私がラクスを誘ったから、アスランさんとの約束を断ったんじゃないの。そんな彼女の言葉はラクスにとってはいたく心外なもので、ラクスは眉間に小さく皺を寄せた。

「どうしてそんな事おっしゃいますの?」
「どうしてって…どう考えても、私の方が後から言い出したんじゃない。ラクスの家に行ってもいいかって」
「それはそうですけど、でも私、久しぶりに貴女にお会い出来て嬉しかったのに」
「私だって、嬉しいよ。でも…やっぱり駄目だよ。婚約者は大事にしないと…」
「アスランの事は大事に思ってますわ。でもそれは貴女も同じです。天秤にかけるような事、おっしゃらないで下さいな」

 アスランと彼女と、2人の間でどちらがより大事かなどと、そんな比べるような真似はしたくない。だってどちらも大事なのだ。婚約者も友人も、どちらも大好きな人なのだ。それなのにどうして彼女は婚約者の方を大事にしろだなどと、そんな事。

「それに、アスランは用事が出来たから予定をキャンセルして欲しいと言っていましたもの。どちらにせよ、今日彼がここに来る事はありませんでしたわ」

 だからいいんです。ラクスがそう言い切ると、彼女はきょとんと目を瞬かせる。
 言葉が上手く飲み込めないのか、え、と驚いたように瞠目する彼女は、それから「本当?」と遠慮がちに問う。ラクスが彼女に気を遣わせない為に吐いた嘘だとでも思ったのか。だが生憎それは真実で、故にラクスは「本当ですわ」と安心させるように微笑みかけた。

「何でも、アカデミーでご一緒の方からご相談を受けたとかで…あまりに必死だったらしくて、断りきれなかったそうですわ」
「相談?」
「ええ、内容まではお聞きしていませんが…以前も何度か相談に乗った事があるそうで。女性ながらによく頑張っていらっしゃると、アスランも褒めていらっしゃいました」
「……え?」
「凄いですわよね。私達とそう歳も変わらないのに、女の身で…私、少し尊敬致しますわ」
「……ちょ、ラクス…ね、それ何も思わないの?」
「はい?何がです?」

 けれども。
 安心させようと詳細を話して聞かせれば、何故か友人は焦ったような、それでいて疑うような、そんな眼差しをラクスに向けた。

「だってそれって、アスランさん、女の人と出かけたって事でしょう!?」
「…そうなりますわね。それが何か?」
「“何か?”じゃなくて!ラクスとの約束を破棄してまでだよ!他の女の人とだよ!?いいの!?」
「いいも何も…その方にはアスランの助けが必要だったんでしょう?ならば仕方のない事だと思うんですが…」
「それはそうだけど…そうかもしれないけど、でも絶対その人、それだけでアスランさんに声かけた訳じゃないと思うんだけど…」
「それだけじゃない?他に何か理由が?」
「いや、まぁそれはあくまで私の予想でしかないから断言出来ないけど」

 彼女の言わんとしている事が理解出来ずに、ラクスは頭の上に盛大に疑問符を浮かべた。
 それだけじゃない、と今のラクスの説明だけで、どうして彼女は推察する事が出来たのだろう。言葉のどこかに、自分には分からないような暗号でも潜んでいたのだろうか――何度頭の中で反芻しても、言葉のままの意味にしか思えないのだが。
 そんなラクスを見て、友人は難しい問題を解く時のように、うぅんと低く小さくうなり声をあげた。何て言えばいいのかなぁ、いやそもそもラクスは分かってるのかな。そんな呟きが聞こえた気がする。気がするけれど、ラクスは辛抱強く彼女が何か言ってくれるのを待つ事にした。何となく、今の自分が何を言っても分かっていないと一蹴されて終わりのような気がしたからだ。
 そうして待つ事数分。上手く言葉が纏まったのか、あのねラクス、と諭すような口調で彼女はゆっくり口を開いた。

「ラクスは、アスランさんの事が好きだよね?」
「?はい、好きですわ」
「それは異性として?それとも友人として?」
「えっと…?ただ“好き”というだけではいけませんの?」
「…じゃあ“恋”って分かる?」
「恋…ですか?ええもちろん、存じ上げておりますわ。男の方が女の方を、女の方が男の方をお慕いしている時に、2人の間にある感情の事を言うのでしょう?」
「オーケー、そこまでは分かってるのね。じゃあもう一度質問するわ。ラクスは、アスランさんに恋してる?」
「……恋」

 問われた時に、ラクスの頭の中に浮かんだのは先日観たばかりの恋愛映画のワンシーンだった。
 主役の男優が相手役の女優を優しく抱きしめて、そうして耳元で愛を囁いて。演技といえど、互いを想い合う感情がスクリーン越しにも伝わってきて、思わずうっとりと見とれてしまったのを覚えている。いつか自分とアスランもああいった仲になるのだろうかと、漠然と思ったのを覚えている。

「ええ、私、アスランに恋をしていますわ」

 自分達の関係は、まだあれには程遠いけれども。
 ラクスは迷いなく頷いた。女が男を大事に想う気持ちを恋だというのなら、アスランを大事に想う気持ちは恋なのだろうと、それ以外に何があるのだろうと、むしろ逆に問いたいくらいだった。

「本当に?」

 けれども友人は、そのラクスの返答をはなから信じてはくれないようだった。問い返されて、ラクスは言葉に詰まる。ラクスとしては頷き返したい所であったが、どうしてか、本当だ、とは言えない雰囲気だった。
 閉口したラクスに、友人は失望に似た溜め息を漏らした。あのねラクス、と諭すような口調で切り出された言葉に、ラクスはコクリと小さく息の呑んだ。

「ラクス、貴女は多分、恋というものを分かっていないわ…ううん、分かっていないという訳ではない。知識としては知っている、けれど感情としては分かっていない、と言った方が正しいかしら」
「…それはどういう事ですの?」

 その先を聞くのは、何となく怖い。けれど知らないままなのも怖い。知らずにラクスの声は震えて、不安を隠すようにラクスは胸元で手を握りしめた。

「ね、ラクス。アスランさんがその事…今日の予定をキャンセルして欲しいって言ってきた時、貴女は何て答えたの?どんな風に答えたの?」
「私…私は、ただ普通に、分かりました、と。お会い出来なくて残念ですけど、是非その方のお力になって差し上げてください、と。ちゃんと笑って言いましたわ」
「そう…その時、アスランさん何か言った?どんな様子だった?」
「別に何も…謝罪くらいしか言ってはいませんでしたが…。ああでも、少しだけ寂しそうでしたわ。あの時は単に、恐縮してあんな表情をされたのだと思ったのですが…そうです、今思えば、あれは申し訳ないというより、寂しそうでしたわ」
「…そう。そりゃあ、寂しくも思うでしょうね。婚約者の貴女が、そんな態度をとったんだから」
「そんな態度…?私がいけなかったのですか?私があんな顔をさせていたんですか?」

 質問を重ねるラクスに、友人は優しく微笑みかけてくれる。が、ラクスにはどうしてか、それが哀れまれているように感じられて――ああ貴女は分からないのね。分かってあげられないのね。そう言って、アスランに同情しているように感じられて。
 ツキン、と胸の奥が痛むような気がした。

「ラクス、普通はね…好きな人が他の異性と2人で出かけたなんて聞いて、穏やかでいられる筈がないのよ。嫉妬しちゃうものなのよ。なのに笑って許せてしまう貴女は、やっぱり恋をしているとは言えないわ」
「……そんな…」
「きっとアスランさんも、気付いたとは言わないまでも、何か感じるものはあったでしょうね。寂しそうだったのは、貴女が嫉妬してくれないからよ。貴女との約束を反故にしてまで他の人を優先してしまったのに、貴女は寂しがる素振りも残念がる素振りも見せずに構わないという。そんな無関心な態度をとられて何も思わないなら、そもそもここに頻繁に来てくれるなんて事ない筈だもの」

 そこまで言うと、友人は机の上にあった焼き菓子をパラパラと小さく砕き、芝の上に撒いた。小鳥がそれに群がるように集まってくる。その様子を微笑ましく見つめる彼女の横顔が、何だか遠い。
 楽しかった筈のお茶会だったのに、何故か急に居心地が悪くなり。美味しかった筈の紅茶や菓子は、何故か急に味気なく感じて。
 ゆらゆらと揺れる紅茶の水面に、ラクスはそっと視線を落とした。

「それでもやっぱり、貴女達は婚約者だから。いつか結婚しなきゃいけない事には変わりないんだけど」

 だけど、だから今のままだと貴女いつか辛くなるわよ。
 忠告に似たその言葉に、ラクスは「はい」と頷いたけれど。


 それでもラクスは、今ここにいないアスランに対して、どうして他の女性の側に居るのと、どうして私の側を選んでくれないのと、そんな風に思う事は出来なかった。








 だからその日から、ラクスは“自分はアスランに恋をしていない”と思い込みながら彼と接するようになり。
 それでもアスランは側に居てくれるし。



 優しくしてくれたキラを好きだと思う気持ちを“恋”だと思った。
 だけども側に居るのはアスランだったから。








 それが“婚約者”という逃げられない枷がある故の余裕だと気付いた時は、もう全てが遅すぎた。








「………え?アスラン、今なんて…」
「だから、ラクス…俺達の婚約はもう解消されたんです。貴女が俺以外の人を選んだとしても、もう誰も貴女を責めません。無理に俺と一緒に居ようとしなくても、もう誰も貴女を咎めはしません」

 突き放すような言葉だった。そんな言葉は聞きたくなかった。
 エターナルの通路で唐突に、まるで世間話でも始めるかのような勢いで言われたその内容に、ラクスは頭を鈍器で殴られたかのような衝撃を受けた。
 どういう事だ。婚約が解消された?そんな事、自分は何も聞いていないのに。
 言葉を失ったラクスの代わりに、付き添うように背後にいたキラが「どういう事?」とアスランに問い返す。そんな事誰が言ったの、君はそれでいいの。責めるような、声色だった。

「どういう事、という問いに答えるなら、聞いたままだ。他に言いようがない。誰が言った、という問いに答えるなら、父上だ。それ以外に誰がいる。それでいいのか、という問いに答えるなら、それでいい、と答えよう」
「っ!アスラン!でも…!」
「離せよキラ。お前には関係ないだろう」

 淡々と答えるアスランに苛立ったキラが、アスランの胸ぐらに掴みかかる。アスランはといえば、振り払う素振りも見せず、ただ鬱陶しそうな眼差しで見やるだけだ。
 確かにアスランの言葉通り、キラには関係のない話題ではあった。だけどもキラは今、何も言えずにいるラクスの代わりだ。まるで自分が疎まれているような錯覚がラクスを襲い、ラクスはサァッと顔を青褪めた。

「ラクス!ラクスはいいの!?君達の関係は、そんな他人の一言で壊れるようなものだったの!?」
「あ…私……」
「キラ、これは俺達の問題なんだ。口を挟むな」
「けど…!」
「ラクスだって、こうなるのを望んだ筈だ。婚約だなんて所詮プラントの規則が決めつけた関係だったんだよ。友人同士だって親キョウダイだって同性同士だって、そうだと言われれば次の日から婚約者になれるような、な。なりたくてなった訳じゃない」
「そんな…!」
「だからもういいだろ。離せ」

 反論出来なくなったキラの腕から力が抜けて、アスランは今度こそその手をやんわりと振り払った。乱れた襟元を簡単に整えると、はぁと小さく嘆息する。話はそれだけですから、とすぐに身を翻そうとする彼に、キラが慌てて声をかけた。

「ちょ、アスランどこ行くの!?」
「…カガリの所に。シミュレーションに付き合って欲しいって頼まれてたからな」

 その返答に、ラクスはカッと目を見開いた。
 アスランは自分の側を去って、カガリの側に行くという。自分とは違う女の側に行くと言う。
 行かないで、と思った。どうして自分を置いて行くの、と思った。別の女の側よりも、何より自分の側に居て欲しいと思った。


“普通はね…好きな人が他の異性と2人で出かけたなんて聞いて、穏やかでいられる筈がないのよ。嫉妬しちゃうものなのよ”


 ラクスはカガリに嫉妬した。

 そう、自覚するよりも早く。ラクスは咄嗟にアスランの腕を掴んでいた。行かせまいと、両手でしっかり、縋るように。
 アスランが、そしてキラが驚いているのが気配で分かったが、ラクスは俯いたまま顔が上げられない。多分、今自分はとてつもなく酷い顔をしている事だろう。そんな顔を見られる訳にはいかなかった。

「ラクス…」

 アスランの、自分の名前を呼ぶ声に切なくなる。
 ああ分かった、今認めようではないか。確かに彼が他の女と2人きりになるなんて聞いて、穏やかでいられる筈がない。笑って許せる筈がない。あの時の自分は、おかしかったと認めよう。
 だけど同時に否定する。
 やっぱり自分はあの時からアスランに恋していたのだ。恋していないだなんて言った友人が間違っている。だって恋していないなら、恋愛映画のラブシーンに、自分とアスランを重ねたりする筈がない。うっとりと、憧れたりする筈がない。

「ラクス、離して」
「…やです」
「ラクス」
「嫌です!離しません!離したらアスランは行ってしまうでしょう!?」

 自分じゃない、別の女の所に。嫌だそんなの、耐えられそうにない。

 だって今度はもう、アスランは自分の側に返ってくる理由も義務もないのだ。
 いつかの女の時のように、どうせアスランは自分の婚約者なのだからと、だから結局は自分の側に居るんだからと、絶対的な自信がないのだ。


 いやいやと頭を振るラクスの頭上に、アスランの溜め息が降ってくる。そうしてゆっくりと伸びてきたアスランの手は、彼の腕から引き離すようにラクスの手を解きほぐした。
 拒絶された。その事実に、ラクスは愕然とする。今までだって何度か拒まれた事はあったけれど、それとは違う。触れさせてくれないのではなくて、遠ざけられたのだ。誰かにそんな風にされる事など、ラクスには初めての事だった。その初めての経験が、まさかアスランからだなんて。

「アスラン…!」
「貴女は勝手ですね、ラクス」

 アスランは嗤って言った。

「いつもいつも、俺はどうしたら貴女が喜んでくれるだろうか、笑ってくれるだろうかと、そればかり考えていたのに、貴女はちっとも俺に関心を示してはくれない。いつでも来てくださいとは言ってくれるのに、来て欲しいとは言ってくれない。どこで誰と何をしようとも、気にもかけてくれない。ただそうですかと頷くだけだ」
「……それは」
「あげく、貴重な休暇を使ってまで貴女に会いに行ったこの俺に、別の男が好きだと言う。あの時、俺がどんなにショックだったか君に分かるか!?それが何だ、せっかく自由だと告げに来たこの俺に、今度は行くなと言う!君は!俺に!どうして欲しいと言うんだ!?俺は君の暇を潰すための便利な道具じゃない!俺にだって意思はある!いつもいつも君の都合で動くなんて思わないでくれないか!」
「…アスラン!さすがにそれは言い過ぎだよ!」

 さすがに見かねたらしいキラが、アスランの言葉を遮るように声をあげた。が、既に口から出た言葉はなかった事には出来ない。ラクスには反論出来ないものばかりのそれは、確かに全て真実だったのだ。

「それじゃあラクス、俺は失礼します」

 別れの言葉と共に去っていくアスラン。遠ざかっていく背中。二度と自分の側には来てくれない存在。
 ラクスはその場に崩れ落ちた。頬を伝う冷たい感触は、多分涙だ。
 キラが気遣うようにそっと肩を抱いてくれる。だけども自分にはその優しさにも温もりにも縋る権利などありはしない。だってそれは本当に望んだものではないのだから。望んだものはもう遠くに行ってしまって手は届かないけれど、だからといって他で補えるものでもない。



 失くした瞬間に、大切さに気付く。もう二度と訪れないだろう穏やかな時間を思い返し、過去の自分を罵った。








 彼を想う気持ちを恋と謂えなかった私が、どうして他人に愛の言葉を謂う事が出来るのでしょう。











あとがき(長い長い言い訳…です)


何かグダグダ感が満載ですが…

婚約破棄後のアス→ラクは見かける気がするんですが、アス←ラクってあんまりないなぁと思いまして。(アニメの描写もアス→ラクに見えなくもないですしね)
その時の表現としてよく「失ってから大切なものに気付く」的なものが使われているように思うんですが、それをラクスの方からの視点で書けないだろうか、と考えた結果です。


分かりにくいと思うので解説しますと、

何故周囲がアスランとの関係を知りたがったりするのか疑問なラクス。嫉妬というものを知らないラクス。
けれどそれは自分がどうしようとアスランがどうしようと、結局アスランは自分の側に居るんだという無意識の余裕からきている訳で、それこそラクスが「私あの方(キラ)好きですわ」と言った所で、アスランは離れる訳ないだろうという傲慢もあった訳です。
しかし、婚約が破棄されてしまい、自分とアスランを縛る鎖がなくなってしまった。アスランが他人の所に行っても、自分の側には帰ってくる保障がなくなってしまった。
そうして、好き放題していたツケが今更回ってきてしまって、アスランはもう自分の元から去る気満々だったんです。行かないでと言った所で、今までの行いが悪かったせいで、アスランはラクスは自分と一緒じゃなくてもいいんだと思い込んでいる。むしろそうあるべきだと思っている。

まぁ長々と説明してますけど、結局は、 恋してないと思い込んでいたラクスが恋を知ったのは、失恋と同時でした…っていうお話です。